あなたが仕事で大切にしていることは?中国式仕事術のススメ
あなたが仕事で大切にしていることは?中国式仕事術のススメ

あなたが仕事で大切にしていることは?中国式仕事術のススメ

これまで日中の間に立っていろいろな業務に携わってきました。違う国同士で仕事をする場合、商習慣や仕事への取組み姿勢の違いなどから互いに戸惑うことは多々あります。どちらも「これが普通」と思っているので、注意しないと大きなトラブルに発展しかねません。

これらの違いは言うなれば文化的な違いなので、どちらが正解という問題ではありませんが、ただ、個人的に「ここは中国式の方がいいのでは?」と思うことがいくつかありました。今回はそんな中国式仕事術をご紹介します。

効率が命

中国の人と仕事をするようになって「便利だね!(中国語では“方便”)」と「面倒だよ…(中国語では“麻烦”)」というこの二つが何かを判断する際に割と大きなウェイトを占めているということに気づきました。日本では多少面倒なことでも文句も言わず淡々と対処することが多いですが、中国の人は「麻烦」と思うと何とかそれを回避しようとする傾向が強いです。

中国系企業の日本支社にいた時にこんなことがありました。顧客数が急増してエクセルでの管理が追いつかなくなり、「このままではマズい」と思った私は顧客管理専用システムを導入してもらうよう会社に提案することにしました。ネットで下調べをした上で機能や価格などを一覧にした資料を用意して、「最近ユーザーが急増しているので、もうエクセルの管理では無理だと思うんです……」と切り出しました。すると上司はこう答えたのです。「うん、そうだね。だから中国の本社に管理システムを作ってもらっているんだ。たぶん来週から使えるよ」

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私が日本のサービスを調べている間に、なんと自社で独自の顧客管理システムが出来上がりつつあったのです。当時の私はまだ日本での業務経験にとらわれていて、臨時の自社システム開発のためにエンジニアのリソースを割くのは無理、もしできたとしてもかなり先になると思い込んでいました。でも、エクセルで顧客管理をするという「麻烦」を避けるため、私の考えをはるかに超えるスピードで社内調整から開発まで進んでいたわけです。

ハイテクの街として知られる中国の深圳には「时间就是金钱,效率就是生命」という標語があります。漢字を見るとだいたい意味がわかると思いますが「時は金なり、効率は命なり」という意味です。これは中国でのビジネスシーンにおける価値観をよく表していると感じています。中国の人が「麻烦」を嫌い「方便」を重視するのも無駄が嫌いで効率を重視しているからです。ただ、無駄を省き効率を求めようとすると、その検証に時間をかけすぎてしまい、結局何も改善できないままむしろ時間を無駄にしてしまうということも起こりがちです。まずは中国式に「便利(方便)最高!面倒(麻烦)は敵!」といった感覚で業務を見直してみると、手近なところから効率化が進むかもしれません。

出典:
出典:Wikipedia

家族が命

次にご紹介するのは家族との距離感です。家族を大切に思う気持ちはもちろん日本も中国も変わりません。ただ、日本の職場では「同僚に迷惑をかけないように」というプレッシャーが比較的強く、例えば身内が病気になってもできるだけ業務に影響がでないように気を配ります。それでも遅刻や早退をするとちょっと肩身が狭い思いをしたりするかもしれません。

ところが中国は仕事よりも家族が大事に決まっているというのが共通認識。例えば「子供がケガをした!」という連絡が入れば5分もしないうちにオフィスを飛び出す人がほとんどではないでしょうか。私自身も何度か経験がありますが、何の調整もせずに早退してしまうので「急ぎのこの件はいったいどうしたら…」と戸惑ったこともあります。

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でも、そのように家族を優先された結果、業務に大きく支障がでたことは一度もありません。昨今コロナ禍の影響でテレワークの導入が進み、スムーズに業務が流れるか心配したものの「案外普通にできる」と拍子抜けしたような経験をされた方も多いと思います。中国式の家族優先スタイルも同様です。それこそ今はどこでも仕事ができますし、病気やケガをした家族が落ち着いてからリモートで対応する、客先に説明して翌日に持ち越す、そういった対処で十分なケースがほとんどです。それよりも家族を心配しながら仕事を続ける非効率や、家族優先を許さないプレッシャーで職場の雰囲気がギクシャクすることの方が相対的に見ればはるかに損失が大きいはずです。家族愛はもちろん、効率を愛する中国の人々はそのこともわかっているのかもしれません。

最近の中国ではテック系企業で働く若い人など、「仕事命」のような人々が増えています。もしかすると、私が知る職場とは異なり、日本のように「家族が病気で早退するのは肩身が狭い」というプレッシャーが生まれているかもしれません。でも、この家族優先の姿勢は私が最も日本でも真似してほしいと思う部分。これからの中国でもずっとこの風潮が残ってほしいと願っています。

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命が命

最後にご紹介するのは文字通り命が最優先ということです。「そんな当たり前のこと」と思うかもしれませんが、日本では周囲に気を遣うあまり「正常性バイアス」がかかりやすいことがあります。例えば台風。日本では天気予報とにらめっこをしながら、ギリギリまで「何とかなるのでは」と判断を先送りにし、さほど必要がないのに無理に出社を求めて社員を危険にさらしたり、早期の帰宅を許さず帰宅難民にしてしまったりすることがあります。

でも、中国では「危ない」と思えば迷わず瞬時に休業や退勤になります。私自身の経験としても、間もなく台風が上陸という予報が出たら、どんなに急ぎの仕事があっても帰宅が優先されました。(その結果、やはり業務にそれほど大きな影響は出ませんでした。)仕事の場ではありませんが、深圳で大学に通っていた時、最大級の台風が週末に上陸するという予報が土曜日に出ると、学校からはすぐに月曜日の休校が通知されました。

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このように中国では生命の危機があるところには近寄らないという姿勢が徹底されているので、おそらく台風の時に田んぼの様子を見に行った結果、命を落とすようなことはあまりないのではないでしょうか。日本では東日本大震災をきっかけに、「仕事より命が優先」という風潮が生まれてきていると感じています。また、このような姿勢は中国式というよりはグローバルスタンダートともいえるでしょう。ぜひこの意識を忘れずに、日本でも「仕事より命」の流れを定着させたいものです。

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最後に

今回ご紹介した中国式も行き過ぎると「麻烦」を嫌うあまり誠実な対応ができないといった負の側面が現れることもあります。一方で、日本式の丁寧で周囲への配慮を忘れない姿勢は、他には替えがたい付加価値を生み出すことも確かです。ただ、そんな日本のよさが行き過ぎて致命的な非効率を生み、時には命を危機にさらしてしまうことすらあります。それはとても悲しいことだと思うのです。今回ご紹介した場面で少し中国式を取り入れてみると、きっと新しい発見があり、前進のきっかけになるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

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Deeper ライターズ

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