サステイナビリティ本場オランダから、本当のSXの最先端教科書「SiD」日本上陸。「サステナ」って実際のところ、なに?この際なので今さら聞けないサステナあれこれも。
サステイナビリティ本場オランダから、本当のSXの最先端教科書「SiD」日本上陸。「サステナ」って実際のところ、なに?この際なので今さら聞けないサステナあれこれも。

サステイナビリティ本場オランダから、本当のSXの最先端教科書「SiD」日本上陸。「サステナ」って実際のところ、なに?この際なので今さら聞けないサステナあれこれも。

「いつかは考えないと」と思いがちなサステイナビリティ。最先端の教科書が日本に「無料」で上陸

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みなさまこんにちは、夏のバケーションシーズンが終わったとたんに一気にクリスマスムードに突入し、もうここ数か月年末感が漂っているオランダよりウルセムです。この国の人たち、2020年に続いて2021年もさっさと終わらそうとしているような気がするのは私だけでしょうか。

さて、シリーズ「オランダ発 サステナと幸福と食パンと」、3回目にして番外編で恐縮ではありますが、今回はこちらのメディアの大看板でもあるサステイナビリティ(持続可能性)に関連してぜひお知らせしたいニュースがあり、筆を執っております。

このたびサステイナビリティを考える/組織をサステイナブルに変革するにあたり頼もしい指針となるオランダのサステイナブルシフトマニュアル『SiD(Symbiosis in Development)』が日本語に翻訳され、お手頃サイズのクイックガイドが日本でなんと無料オンライン公開されました!

カタカナが多すぎて疲れたので日本語に置き換えると「組織で持続可能性を考える・実行するにあたり必要な考え方と方法論が書いてある教科書」という感じでしょうか。

実はこの日本上陸、私が所属するクリエイティブラボ「ニューロマジック・アムステルダム」のプロデュースによるもので、私も微力ながら翻訳のお手伝いをしました。

「なんか世界がサステイナブルに舵を切っているから、いつかは考えないとな…」

「会社でSX(サステイナブル・トランスフォーメーション)を展開したいけれど、忙しいし利益もゆずれないし、何からどう始めればいいのか分からない」

「会社でエコっぽいことやってるけど、いまいちインパクトがない」

そんな方にペラペラと気軽に読んでいただき、「本当のサステイナビリティ」がなにか、その導入の方向性が見えてくる、そんなガイドになることを目指しました。

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「そうか、じゃさっそくダウンロードだ」という決断の早い方はこちらから

そもそも「SX(サステイナビリティ・トランスフォメーション)」って?

能書きが長くなりそうなので本題に入りましょう。そもそも「SX」とはものすごくざっくり言って「組織をサステイナブルに変身させること」。近年さすがに耳慣れた感のある「DX(デジタル・トランスフォメーション)」の持続可能性版といってもいいでしょう。

用語としてはDXよりも後に浸透したものの、近年緊急性をます気候変動などの環境問題や、昨年多くのビジネスに多大な影響を与えた新型コロナウイルスのパンデミックのような想定外の大型現象の頻発を受け、「持続できるビジネスへの生まれ変わり」はDXよりも重要と考える企業が爆発的に増えています。

特にここオランダでは近年、持続可能性に関して熱心さが見えない企業からは消費者の足が遠のくのみならず、環境団体から訴訟を起こされて敗訴したりもしており、SXは「地球のためにいつかやるべきこと」ではなく「自分たちのために今やらなければやばいこと」になっています。

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Photo by Margot RICHARD on Unsplash

さらにそもそも、「サステイナビリティ」って?SiD的定義

そしてそれ以前に、そもそもサステイナビリティってなに?と訊かれて、自信をもって答えられる人はどれくらいいるでしょう。SiDの翻訳に関わる以前の私なら、「日本語で持続可能性っていうくらいだから…持続が、可能なんでしょ?」とか言ってしまいそうです。

世界基準としていまだによく引用されるのは、その概念が提案された1987年の国連「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」による「われら共有の未来」中の定義です。

「持続可能な開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発である。」

耳が痛いですね。私たちは早々に解決しなければ将来の世代にツケとして回るであろう問題を抱えつつも、自然も、資源も、人も、搾取したりすり減らすような使い方を続けています。これが実現できていないから近年、「将来の世代」が声を上げ始めたのでしょう。

さらに今回ご紹介しているSiDマニュアルの開発者であるトム・ボスハールト氏は、先述のブルントラント定義は結果にしか言及していない点が実用的でないとし、マニュアルの中で以下のような一歩先を行く定義を提示しています。

「サステイナビリティとは、複雑ダイナミックなシステムが調和している状態のこと。この状態では、システムの境界の外からのインプットを必要とすることなく、システムは安定的に、繁栄し続けることができる。」

少し言葉が硬いので、擬人化ではないですが、これが会社組織だったら…と考えてみましょう。

「もちろん色々あるけど、おおむね社員の顔ぶれが安定していて入れ替わりも激しくなく、調和がとれており、社員に疲弊も搾取もない。外注先に無理をさせることもなく、社員みんなで結果を出せている。不慮の事態があってもすぐに対応・回復できる。このままの状態でずっと順調に経営を続けていけそう」

みたいな感じでしょうか。完ぺきではないにしても、みなさんそのような会社組織を目指して切磋琢磨してらっしゃると思います。

まさにそこです。今のご時世は今まで以上に、あれこれすり切らすようなやり方をしているビジネスは早晩本当に立ち行かなくなります。昨年のパンデミックで「持続」できなくなった会社がいくつあったでしょうか。そして現在の私たちのあり方を考えれば、今後もおそらくそれに近い、さらにはもっと大きなインパクトを持つ出来事が、自然界から、もしくは人間界から、起こり続けると予測されています。

だから人も組織も資源も自然環境も、将来にツケを回しながらギリギリの状態で持ちこたえるのではなく、色々あっても「ずっと繫栄し続けられる」状態に持って行きましょう。というのがSX(サステイナビリティトランスフォーメーション)なのです。

私たち日本人にとっては資源や自然環境マターのイメージが強い「サステイナブル(持続可能性)」という用語ですが、実は本来「地球にやさしい」よりもはるかに広い、包括的な意味を持っています。

国連が2015年に採択した17の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、直接資源や自然に言及しているものはたった4つなことにちょっと「ん?」となった人は私だけではないのではないでしょうか。

「海や陸を豊かに」「エネルギー」ももちろんだけれど、「平等」「飢餓ゼロ」「平和」「生きがい」など、世界の人類が直面する課題に、包括的に、みんなで取り組んでいこう。そうでなければ人間と地球の「持続」が「不可能」になってしまうよ

豊かで平和な日本に住む私たちには「持続が不可能」な未来はあまりピンと来ませんが、この危機感こそがSDGs前文からも見て取れるサステナ目標の前提のようです。

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「じゃあ、その教科書とやらを読んでみるか」と思った方はこちらから無料ダウンロードをどうぞ

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Photo by Photo Boards on Unsplash

「本当の」サステイナビリティを追求する際の指針として開発された「SiD」

理論や具体的な方法などの詳しい話は、私たちががんばって訳したクイックガイドを無料(何度でも言います)ダウンロードしてご覧いただくとして、このサステナ教科書「SiD」の魅力を翻訳者の一人として独断と偏見で語らせていただくと、それはズバリその「包括性」と「システム性」です。

残念ながら、サステイナビリティは単純ではありません。

例えば「90%リサイクル素材―環境にやさしい」などと書いてある商品を見て、「それは本当に『環境にやさしい』の?リサイクルの過程で大量にCO2出してたりとかしない?」とうがった疑問が残る大人は私だけではないでしょう。

実際、その商品が本当に「サステナである=人類と地球の持続可能性に貢献する」かどうかは、素材の出自から寿命を終えた製品の処分方法までを含めたライフサイクルの中で、その商品が存在した文脈の中で、社会にどんなインパクトを与えたかを包括的に考えないと判断できません。

こんな風に考えるとちょっと面倒くさそうでしょう。「地球にやさしい」というラベルを商品に貼って済ませられればその方がラク。でもそれが功を奏さなかったからこそ、今私たちにはもっと大局的な「SX」の必要性が迫っているのです。

SiDはその複雑なサステイナビリティの理解と実現に不可欠な、「アクションの影響の及びうる範囲全体をシステマティックに見通す」ことができるように設計された「考え方の枠組みと、その実践マニュアル」なのです。

SiD開発エピソード

最後に、SiD開発のきっかけとなった「悲劇」をご紹介したく存じます。

サステイナビリティに取り組む私たちが陥りがちな失敗や、なぜSiDがその答えを導くのかが分かりやすいエピソードとなっております。

SiDの開発者であるオランダ人コンサルタントのトム・ボスハールト氏は、1999年に19歳で在学中に現在も続くコンサルタント企業「Except Integrated Sustainability」を起業しました。

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トム・ボスハールト氏(本人提供)

ピチピチのサステナ系コンサルタントだった彼が初めて請け負ったプロジェクトが、当時オランダで「spaarlamp(節約電球)」の名で政府からも省エネのお墨付きを受けていた電球型蛍光灯のプロモーション事業でした。

従来国内で主流だった白熱電球を、この「節約電球」に取り換えることで、省エネになり人と地球にいいことをしていると善意に満ちて精力的にプロジェクトを進めていたトム青年。国内に約50万個のそれを設置した頃のある日、その「節約電球」は当時考えられていたほどには省エネにはならず、なによりも人体に有害な水銀が使われていると知り大ショックを受けます。

失意の中、トム青年はお手軽に取り換えるだけでサステナになるものなどないと悟り、サステナを意図した行動の影響すべてを文脈やシステム全体の中で包括的に見通すような枠組みがないか探したが、「なかったので自分で作って、10年の実践の中で完成させていった」。

ものすごくかいつまみましたが、これがSiDの開発秘話であり、現在も彼が世界各地の講演で口を酸っぱくして「『サステナなモノ』などこの世に存在しない」と言う原点がここにあります。

その後のトム青年の活躍は、30代にしてオランダの全国紙により「サステイナビリティ分野で最も影響力のある人物」の一人に選ばれたり、オランダの顔ともいえるアムステルダムのスキポール空港や、IKEAのような世界的企業などの数々の組織・地域のSXをリードしてきた事実からうかがい知ることができます。そして現在SiDは、サステイナビリティ先進国である同国で最も信頼の厚いメソッドのひとつとして各企業に利用されています。

小手先のごまかしではない本格サステナビリティの教科書「SiD」。

ひとまず「決して単純ではないサステイナビリティの本質と、SiDのエッセンスを、余すことなくお伝えする」ように訳し、「一人でも多くの方に知ってもらえるよう、分かりやすく読みやすく」と寄ってたかって改定を重ねた日本語版を、ご覧になってみて頂ければ幸いです。

大企業のSXから、スーパーのお買い物の中でどのタマゴがもっとも次世代のために良い選択肢かといった決定まで、まったく違う視野が開けること請け合いです。

日本のサステイナブルシフトを加速するエンジンとなりますように。

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執筆者

Deeper ライターズ

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