目からウロコ?ケチとエコと商売がお家芸のオランダ流 楽々日常サステナ術
目からウロコ?ケチとエコと商売がお家芸のオランダ流 楽々日常サステナ術

目からウロコ?ケチとエコと商売がお家芸のオランダ流 楽々日常サステナ術

「今日、私に何ができる?」に応える、オランダ政府からの呼びかけ

みなさんこんにちは、昨年に続く冷夏で「夏はまだか」と待つうちにドングリが落ち始めてしまったオランダからウルセムです。 出し抜けになんですが、エコな暮らし、してますか。聞くところによると日本でも使い捨てプラスチックの有料化がどんどん進んでいるそうで。オランダでは今年に入ってストローというストローが一気に紙製に替わりました。ちなみにレジ袋はもう20年以上前から30~50円の有料ですが、昔から忘れっぽい私は頻回にレジで「ぐわあぁエコバッグ忘れた!!」を繰り返し、家には数十枚のレジ袋コレクションが累々としています(ごめん地球)。 今日はそんな私の目から鱗がポロポロ落ちた、人にも地球にも優しいオランダのサステナ術をご紹介したく存じます。

先日買い物のために国境を越えてドイツに行った際、公共広告のポスターで『その服、本当に洗濯が必要ですか?風を通そう!(そして再度着よう、という含みをもたせて)』と呼びかけているものが目に入った。

image

日々エネルギーと水資源を使ってせっせと洗濯して洗剤を流し、アパレル産業や衣類から出るマイクロプラスチックなどの及ぼす環境負荷を一応は知りつつも「家族の衛生のための洗濯」を当然善行と捉えていた私はけっこうな衝撃を受けた。

日本人としては相当ズボラな主婦であることに常にうっすら罪悪感を持ち続けて8年目、突然の「洗濯するな」宣告。ザ・カルチャーショックである。

ところ変わってこちらはカナダ発だが、同国の環境問題活動家で、国民的生物学おじさんでもあるデヴィッド・スズキ氏が公式サイトで呼びかけているエコアクションの提案にも、

「夏は、室内の温度を上げてしまう長時間の加熱調理は避けましょう。たまには火を通さずにできるサンドイッチなどの簡単な食事で済ませましょう」

というものがあり目から鱗が落ちた。

Photo by Ralph (Ravi) Kayden on Unsplash
Photo by Ralph (Ravi) Kayden on Unsplash

このシリーズのタイトルにもあるように、オランダの食事は「1日2食が焼かない食パン」。それは元々「めんどくさいから」以前に、質素を旨とするカルヴァン主義が背景にあると言われている。しかしこの究極の手抜き食生活は、ラクなだけでなく地球にも優しかったのか!

サステナな生活は「めんどくさい」イメージがあるが、ちょっとした思い込みを捨てるだけで地球にも自分にも同時に優しくできるのではないかと感心した私は、数年前にドレンテ州(オランダ北東部)のある市議会議員が提言したエコアクションを思い出した。彼は「水を節約するため、みんなシャワーを浴びる時に(小)もしましょう」と呼びかけたのだ。しかもみんながビールを手にしている公式新年会の席で。

さすがにこの時は賛否両論大騒ぎになったが、ご本人は「サステナに向けた議論のきっかけになった」と至ってご満悦だったのを覚えている。

しかしさすがにここまで「buiten vaste kaders denken(既成概念を外して考える)」しなくても、近年アグレッシブにサステナ政策を推進しているオランダ中央政府はもう少しいいことを言っているはず。公式サイトをチェックすると、案の定「誰もが何かをできる」というスローガンで国民に日常の中で実行できるサステナを呼び掛けまくっていた。こちらはもう少しまじめな内容のものも多いので、まとめて紹介したい。

Photo by Portuguese Gravity on Unsplash
Photo by Portuguese Gravity on Unsplash

1.電力・ガス関係

やはり日常のサステナを語る上でここは外せない。オランダは2050年までに天然ガスの使用ゼロ、2025年までに電気供給の50%を再生可能エネルギーを目指して、アグレッシブに各家庭にも取り組みを求めている。具体的には、

・ソーラーパネル、ヒートポンプの設置の呼びかけ

・家の断熱の徹底(本格的な断熱材や二重窓をインストールするリフォームから、『ヒーターの後ろに断熱シートを貼ろう』といったもの、外気が入ってくる隙間をテープで閉じるといった細かいものまで)

・家のエネルギー消費を把握できるアプリなどを積極的に活用してまずは現状を知ろう

・省エネ家電を選ぼう(オランダでは、家電製品は公的な機関によって全て省エネレベルが格付けされており、消費者はできるだけ省エネランクの高いものの購入が奨励される。また、いわゆる白熱球は10年以上前に禁止になっており、現在ほぼLED一択である)

・必要のない洗濯を避けよう(洗濯の回数を週に1回少なくすると、節電だけでなく200リットルの節水になるとのこと。さらに洗濯回数を減らすため、服の匂いは冷凍庫に入れると消える、服に煙のにおいがつかぬようタバコは外で吸え、しわがついたなら浴室にかけておけなど無理目の小ワザも)

※とはいえ「洗濯回数を減らす」は、衣類が汗をダクダクに吸う夏の日本では難易度が高いことが容易に想像できるので、涼しくなってからご検討いただければ幸いだ。

Photo by Ricardo Gomez Angel on Unsplash
Photo by Ricardo Gomez Angel on Unsplash

2.水関係

まずは各家庭における節水シャワーヘッドや、キッチンの蛇口用の節水タブの設置を熱心に呼びかけている。「水流を最強にして1分間バケツに貯めてみましょう。たまった水が7リットル以上であれば旧式のシャワーです、シャワーヘッドを節水タイプに取り換えましょう」とのことだが、みなさんのおうちのシャワーや蛇口はいかがだろうか。

また、オランダは食洗器がデフォルトであるため、「皿の手洗いは水を大量に消費するので避けましょう」と悪者のように扱われているのが日本人としてはちょっと悲しい。

image

3.移動手段

まず、マイカーを持つ人は電気自動車を!そして環境にやさしいタイヤを選ぶ、空気圧をチェック!が強調されている。オランダは電気自動車導入の先導として各種政策を急ピッチで進めており、現在EV率はまだ12%ながら、例えば首都のアムステルダムは2030年にディーゼルやガソリン車の侵入を禁止することが決定している。

膨大なので無理やりまとめると、

「徒歩・自転車>電車や地下鉄などの電気を使う公共機関>バスなどのガソリンを使う公共機関>カーシェアリング>自家用車」

を念頭に置いて、とにかくなるべく環境にやさしい(そして健康にもいい)移動手段を、と呼びかけている。人口よりも自転車の数が多い自転車大国なこともあり、具体的には「15キロ以内の通勤は自転車で」とのこと。15キロって私のママチャリだと1時間くらいかかるやん…と思ったが、現在各自治体が電動自転車を無料で貸し出したりもしている。

また、北欧初の「飛び恥」の意識はオランダでも持つ人が多く、パンデミックで移動が制限され始める以前から莫大な環境負荷をかける飛行機での移動はしないことに決めた、という人は身近にもけっこういる。それにつれて夜行列車人気がリバイバルしたり、国内旅行が見直されたりと様々な動きがある。各地方の違いと魅力が大きい日本にもあっていい傾向ではないだろうか。

Photo by Quincy Soudain on Unsplash
Photo by Quincy Soudain on Unsplash

4.食べ物

オランダは以前から卵が売り場で「産んだニワトリが与えられていた生活環境(一羽当たりの面積や、小屋か放し飼いかなど)」でランク付けされるなど、食と自然の関係には敏感だったが、ここ数年のサステイナビリティ志向によりさらにさまざまなアドバイスがされている。

  • 菜食志向を選んでください(環境負荷を理由に肉食を辞める人が急激に増えている)
  • 肉を買うときは、飼育環境によって与えられるラベルをチェック(動物の権利・肉の品質のため)
  • フードロスを減らす努力を。具体的には、必要な量だけ買う、賞味期限が切れても使えるものは使う、toogoodtogoのような残り物活用アプリをつかう、週に一度は残り物を小皿に並べた「タパスデー」を、など。

Photo by Louis Hansel on Unsplash
Photo by Louis Hansel on Unsplash

5.買い物

  • 物はなるべく、修理・アップサイクルして長く使いましょう
  • リサイクルショップやオンラインオークションなどで中古品の活用を
  • 特に服は製造に高い環境負荷がかかっています。古着を活発に売買、知人同士で交換、パーティ用などのフォーマルはレンタルなどで新しい服の消費を減らしましょう
  • 使う頻度が少ないものは特に、シェアや貸し借りで済ませましょう
  • 自分の手元にあるがあまり使わないものは、どんどん人にあげましょう
  • どうしても処分が必要な時は、必ず適切な分別・リサイクルをしましょう

Photo by Artificial Photography on Unsplash
Photo by Artificial Photography on Unsplash

みなさんが今日、家に帰ったらやってみたいと思ったサステナハックはあっただろうか?

ちなみにオランダでは毎年恒例の「サステイナブルな火曜日」が、今年は9月7日に開催された。応募された様々なサステナアイディアやビジネス、イノベーションなどが選考の上授賞される全国的一大イベントなので、よろしければチェックしてみてほしい。

オランダではサステナは「金鉱脈」

日常から視点を引いてみると、実はここオランダにおいてサステイナビリティは今や消費者やビジネスのスタンダードな倫理観として定着している以上に、関連ビジネスが花盛りな「金鉱脈」だ。

新しいスタートアップやイノベーションが次々とフードロス、CO2排出、プラスチックごみ、人権問題などの課題へのソリューションを打ち出して消費者の人気を得ているし、それを推進する官民各種アワードも毎年各地で開催されている。

デビューから10年足らずで国民的チョコレートブランドとして他を駆逐した「生産過程に奴隷労働一切なし」の「TONNY’S CHOCOLONELY」や、汚染された造船所跡地をリノベしてお洒落でサーキュラーなコワーキングスペースとして大人気となった「De Ceuvel」など、スタイリッシュさと楽しさで人を巻き込んで大儲け、というパターンは枚挙にいとまがない。理由はズバリ、「楽しくないとやらないから」。効率的というか人間に対する見切りが早すぎというか、まあ結果的に社会にポジティブなインパクトを与えているのだから成功なのだろう。

image

image

というか逆に、サステイナビリティに無頓着なビジネスや団体はどんどん死んで行っていると言っていいかもしれない。

例えば今年5月には、オランダの複数の環境団体が国民の総意として起こした裁判であのロイヤルダッチシェルが敗訴し、裁判所からCO2削減目標に関する勧告を受けたことが歴史的な判決として話題になった。

サステイナブルは地球の未来や利用者の支持を得るために必要な要素であるのみならず、努力が足りない(とみなされた)企業が法によって裁かれてしまう時代になっているのだ。

これは公的な団体も例外ではなく、例えば首都のアムステルダム市は2050年までに完全な循環型経済(サーキュラーエコノミー)都市を目指している。各種取り組みのひとつとして2019年には公的なイベントで提供するフードを完全にベジタリアンのみに切り替えた

元々ケチとエコと商売がお家芸のオランダは、我が意を得たりとばかりにサステナ時代の海を精力的に航海している。「待ったなし」の環境問題を考えれば、世界の他の国々も早晩それに続くだろう。もちろん私たちの日本も。

Photo by Matt Seymour on Unsplash
Photo by Matt Seymour on Unsplash

「つい後回し」になりがちなサステナ?

とはいえ振り返って日々の私たち自身といえば、毎日忙しいし、地球と人類の未来にやさしくする以前に自分にやさしくできているか?と考えれば、それすらもはなはだ怪しい。

2016年の国立環境研究所による国民の意識調査を見ると、日本人の約8割が「気候変動は人間の活動に原因がある」と認識する一方、7割以上の人が「(その問題を解決するために)自分の行動を変えなければならないと思う」と回答していて、日本人らしい高い責任感と、一方で現実的にアクションを起こせていない現状でのギャップが浮き彫りになっている。

さらに元心理士として言わせてもらえば、私たち日本人は完璧主義であるがゆえに「自分一人がちょっとエコしたからって大した影響はない」と思いがちだ。

しかし、前述のカナダの国民的生物学おじさんデヴィッド・スズキ氏の言葉を借りれば、

「70億人が暮らす世界において、私たち一人一人は一滴の水だけれど、その一滴が十分集まれば、どんなバケツも満たすことができる」。

結局は私たち一人ひとりのマインドセットが全てを変えていくのかもしれないとも思う。

みなさん手始めに、今日のランチは「焼かない食パン」、いかがでしょうか。

image

ミテモからのお知らせ

ミテモからのお知らせ

執筆者

Deeper ライターズ

人気記事

すべての記事

新着記事

すべての記事

関連記事

すべての記事