ダイバーシティ・インクルージョンマネジメントとは?外国人労働者の受け入れ体制について
ダイバーシティ・インクルージョンマネジメントとは?外国人労働者の受け入れ体制について

ダイバーシティ・インクルージョンマネジメントとは?外国人労働者の受け入れ体制について

今後も外国人労働者数の増加が見込まれている日本ですが、様々な要因による外国人労働者の失踪や早期離職、日本人との価値観の違いによるマネジメントの難しさなど課題も多いのが現状です。

この記事では、要因の一つである、文化や価値観の違いに着目し、ハイコンテクスト(high-context)、ローコンテクスト(low-context)の視点から、どのような受け入れ体制を企業が作れば良いのか考えたいと思います。また、こうした価値観の違いや、バックグラウンド、特性を活かせる職場環境を作るダイバーシティー・インクルージョンマネジメントのメリットや推進方法についてもご紹介します。

外国人労働者の受け入れの際に起こりやすい問題

現在、日本で働く外国人労働者の数は、コロナ渦の影響があったものの2020年10月末時点で1,724,328 人と過去最高となっており、少子高齢化で人口減少が進む日本では、今後も労働者数は増加していくと考えられています。

しかしそうした中で、以下のような労務管理に関するトラブルや国籍や文化の違いによるマネジメントの難しさなどの課題もあります。

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〔参考〕厚生労働省:000728546.pdf (mhlw.go.jp)

1.早期離職や失踪

実際によくある話なのですが、日本で技能実習生として働く外国人労働者の方が、ある日突然失踪してしまうということがあります。また、失踪まではいかずとも早期に退職してしまうこともあり、採用や育成にかけたコストが無駄になってしまうケースもあります。

しかしこうした問題の背景には、言語の問題だけではなく、最低賃金を大きく下回る賃金や厳しい管理体制に耐えられなかったということもあり、原因をしっかりと考察する必要があります。

厚生労働省の指針には、国籍を理由として賃金や労働時間その他の労働条件について、差別的な取扱いをしてはならないと定められています。

責任の重さが同じであれば同一労働同一賃金を徹底し、長期的な視点で外国人労働者に気持ちよく働いてもらえる環境を、受け入れる企業側が整え、適切な労務管理を行うことが求められています。

2.日本文化に馴染めない

日本は独特のビジネス文化があり、外国人にとって馴染むことが難しい側面もあります。

常勤として働くホワイトカラーの外国人労働者300人を対象に行ったアデコ株式会社の調査によると70.3%が「日本独自の習慣に戸惑ったことがある」と回答しています。

上下関係の厳しさや根回し等の業務プロセスに戸惑いを感じるという方もおり、大半の外国人労働者は、日本の文化に戸惑いを感じていることが分かります。

また一方で、パーソル総合研究所の調査によると日本人は以下のように外国人労働者に対して感じています。

【職場の外国人への規範意識】

・「空気を読んでほしい」 70.7%

・「自己主張やアピールは強くない方が良い」64.2%

・「暗黙の了解を理解してほしい」 60.4%

【外国人部下に対する想定外のギャップ】

・「自己主張が強かった」(46.1%)

・「日本の常識が通じなかった」(41.6%)

・「昇給の要求が強かった」(40.7%)

また、外国人部下を持つ上司の17.2%が「できれば今すぐにでも辞めたい」と回答し、外国人労働者の受け入れに関する研修や相談窓口などのサポートを受けていない割合が46.1%にも上っています。

このように、日本人であれば自然に習得している常識が通じないことや、謙虚な日本人にはあまり無い権利の主張に驚いてしまうケースが多く、マネジメントの難しさが課題となっています。

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ハイコンテクストな日本人労働者、ローコンテクストな外国人労働者

今後、外国人労働者のさらなる増加が予想される中、こうした価値観の違いにうまく対処する方法はないのでしょうか。

「異文化理解力」(エリン・メイヤー著)で述べられている、ローコンテクスト(low-context)とハイコンテクスト(high-context)の視点から見ると両者の感じ方の違いがよく理解できます。

  • ハイコンテクスト(high-context):良いコミュニケーションとは繊細で、含みがあり、多層的なものである。メッセージは行間で伝え、行間で受け取る。ほのめかして伝えられることが多く、はっきりと口にすることは少ない
  • ローコンテクスト(low-context):良いコミュニケーションとは厳密で、シンプルで、明確なものである。メッセージは額面通りに伝え、額面通りに受け取る。コミュニケーションを明確にするためならば繰り返しも歓迎される。

各国のコミュニケーション分布は*図1のようになります。世界の中で最もハイコンテクストなのが日本で、最もローコンテクストなのがアメリカです。勿論、国の中でも性格の個人差はあるのですが、このように国全体としての大きな傾向が存在します。

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図1

歴史的に、日本は千年以上の歴史を持ち、外国からの影響が少ない時期も長かった為、単一民族の中で自然と相手の意図や空気を察する文化が醸成されました。その為、物事をはっきり言わず、相手にニュアンスの違いを読み取るよう期待する文化になりました。

一方、アメリカは、人々が共有する歴史が浅く、異なる多くの民族で構成されてきたため、お互いの意思をストレートに明確に伝えることでコミュニケーションを図ってきました。

ハイコンテキストの日本では、上司が部下に「暇なときにやっておいて」と言えば、ある程度明確な指示がなくても滞りなく業務が回ります。はっきりと口にしなくても行間でコミュニケーションできる為です。

しかし、同じ状況で、ローコンテクストの国の場合はどうでしょうか?シンプルに額面通りに受け取ることが常識の場合には、このようにうまくいかないかもしれません。

そして、本来は優秀な外国人労働者にも関わらず、日本人の常識の枠で見ると「空気が読めない」為に日本人上司からの評価が下がってしまうかもしれません。

一方で、逆の立場からすると、「なぜ真面目に仕事をこなしているのに、不当に評価を下げられてしまうのだろう」と思い悩んでしまうでしょう。

上記を踏まえ、冒頭の意識調査に戻ると、ハイコンテクストである日本人がローコンテクストである外国人労働者に対して、日本の常識の枠で彼らを捉えていることが分かります。しかしこれは正しい考え方なのでしょうか?

確かに日本で働く以上、日本のビジネスマナーを学び、日本の慣習に合わせてほしいと思う方の気持ちも分かりますし、外国人労働者側にも努力が求められます。

しかし今後、日本は、さらに外国人労働者の力に頼らなければいけない状況になっていきます。一方的に外国人である彼らに日本の常識を押し付けるのではなく、相手の国の価値観も尊重し、学び合う方が、皆が気持ちよく働くことができるのではないでしょうか。

その為には、お互いの価値観を尊重する多様性を意識した企業作り=ダイバーシティー・インクルージョンマネジメントが必要です。

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ダイバーシティー・インクルージョンマネジメントが今後は必須に

ダイバーシティ・インクルージョンマネジメントとは、以下のような就業環境を企業が創出することです。多様な人材をただ採用すれば良いのではなく、全ての人がそれぞれの個性を活かせる職場環境を戦略的に作る姿勢が求められます。

  • ダイバーシティ・インクルージョン:性別、年代、国籍、宗教、職歴、働き方などの違いについての理解浸透のみならず、個々が多様性を受け入れ、「強み」として発揮できるようなチームを創造すること

推進のメリット

ボストンコンサルティンググループが、米国や中国などの8カ国において1,700社以上の企業を対象に、性別、年齢、出身国、キャリアパス、他業界での経験、教育の6つの観点から、企業の多様性の度合いとイノベーション水準の相関を調査した結果によると、経営層の多様性を高めることで、企業のイノベーションが質・量ともに向上し、EBIT(支払金利前税引前利益)も、経営層のダイバーシティが平均に満たない企業より9%ポイント高いと分かっています。

多様な人材が集まることで、異なる視点や創造性によって問題解決を図ることができるようになるので、企業文化を豊かにするだけではなく、組織の収益も自然と向上させることができるのですね。

推進するために必要な5つの条件

多様な人材が活躍できる環境を作ることは簡単なことではありませんが、最低限の必須なものとして、以下の5つの条件がインクルーシブな社内環境を作るのに必要であるとされています。

1.異なる意見に快く耳を傾け正当に評価する

2.経営層主導の戦略的取り組み

3.チーム内外の頻繁かつオープンなコミュニケーション

4.新しいアイディアに対するオープンなカルチャー

5.同一労働・同一賃金を含む構成で透明性の高い雇用慣行

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まとめ

今後も外国人労働者数の増加が見込まれる日本ですが、労務管理のトラブルや価値観の違いによるマネジメントの難しさなど課題も多くあります。

今回は価値観の違いに焦点を当て、ローコンテクスト(low-context)とハイコンテクスト(high-context)の視点から、日本と外国人労働者間で起こりやすいすれ違いについてご紹介しましたが、こうした異文化理解だけでなく、全ての個の多様性を認め合うダイバーシティー・インクルージョンマネジメントは今後の人的マネジメントに必須だと言えます。表面的な導入ではなく、しっかりと企業側が個人個人の社員と向き合う姿勢を持つことで、企業文化を豊かにするだけではなく、組織の収益も自然と向上させることができるでしょう。

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Deeper ライターズ

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