「正社員に捉われない」生き方
働き方改革時代の考え方を弁護士が解説
「正社員に捉われない」生き方
働き方改革時代の考え方を弁護士が解説

「正社員に捉われない」生き方 働き方改革時代の考え方を弁護士が解説

ライター
公開日
Nov 17, 2021

「1日8時間、週休2日」という働き方は、長年にわたって当然のものとして、日本社会に受け入れられてきました。しかし、働き方改革の潮流やコロナ禍による社会変動により、このような働き方の「常識」は相対化されつつあります。ご自身の価値観に沿ったキャリア・人生を歩んでいけるように、ぜひ最適なワークスタイルを見つけてください。

今回は、従来型の「正社員」に捉われないワークスタイルについて、弁護士の視点から見た特徴を解説します。

正社員として働くことのデメリット

日本社会では、いわゆる「正社員」として働くことが、「安定」「好待遇」といった観点から是とされる傾向にありました。

この傾向は、おおむね現在も変わっていないように思われます。

「正社員」という言葉は、特に法律上定義されたものではありませんが、

・無期雇用

・フルタイム

で働く会社員の方を指す語として用いられています。

場合によっては、会社ではない団体に勤務する労働者の方(公務員など)も含めて用いられます。

正社員は無期雇用であるため、契約期限切れによる雇い止めに遭うおそれがありません。

また、会社が正社員を解雇することは、「解雇権濫用の法理」(労働契約法16条)によって厳しく制限されています。このような事情が、正社員は「安定」していると言われる所以です。

また、会社にとっても正社員は中核的な人材として位置づけられ、定着を図るために、福利厚生を含めた「好待遇」が与えられる傾向にあります。

その一方で、正社員には、

・時間的拘束が長い

・転勤がある

といったデメリットも存在します。

1週間の活動時間の大部分を仕事に費やす必要がありますし、時には転勤によって家族と引き離されてしまうこともあります。

このような働き方は、必ずしもすべての人にフィットしているとは言えないでしょう。

働き方改革が叫ばれる現代においては、こうした正社員のデメリットも踏まえたうえで、それ以外の働き方も選択できるように、社会全体の意識と制度の両面での変革を進めていくことが求められています。

正社員に捉われない働き方|労働法を踏まえた視点

正社員の「安定」「好待遇」といったメリットは、他の働き方を選んだ場合には、多かれ少なかれ失われてしまう可能性が高いものです。

その一方で、正社員にはないメリットを享受できる可能性もありますので、ご自身の価値観やライフスタイルに沿った働き方を選択しましょう。

以下では、非正規社員・限定正社員・フリーランスという3つの働き方について、現在の労働法を踏まえた特徴を紹介します。

非正規社員

「非正規社員」は、無期雇用・フルタイムではない、すなわち

・有期雇用(いわゆる「契約社員」)

・パートタイム(パート、アルバイトなど)

のいずれか(または両方)に該当する労働者の方を総称した用語です。

雇用の安定や待遇面では正社員に劣る傾向にありますが、労働時間が短い・転勤がないといった点は、非正規社員のメリットといえるでしょう。

非正規社員という働き方自体は新しいものではありませんが、日本の労働法上、近年になって非正規社員に関する重要な法改正が行われました。

そのポイントとなるのが「同一労働同一賃金」というルールです。

「同一労働同一賃金」の考え方によれば、正社員とそうでない労働者の間で、不合理な待遇差を設けることは禁止されます。

2020年4月1日に施行された、改正パートタイム・有期雇用労働法において明文化されました。

非正規社員の方には、同一労働同一賃金により、役割や責任に応じた待遇が法的に保障されるようになりました。

たとえば、短い時間しか働けない方であっても、その時間内できちんとパフォーマンスを発揮できるのであれば、正社員並みの待遇を受ける権利があるのです。

さらに、有期雇用で働く契約社員の方には、「無期転換ルール」や「雇い止め法理」が適用されます。

無期転換ルール(労働契約法18条)

→有期雇用の契約期間が5年を超えた場合、労働者の意思表示のみによって、無期雇用に転換できるルール

雇い止め法理(労働契約法19条)

→過去に契約が反復して更新されるなど、労働者側に契約更新に向けた合理的な期待が存在する場合には、有期雇用の契約期間が満了による雇い止めが禁止されるルール

上記のルールにより、非正規社員の雇用の不安定さは、幾分緩和されています。

非正規社員は、ネガティブな面を強調されることもありますが、ワークライフバランスの観点からはメリットのある働き方です。

労働法上の保護も強化されており、今後もその傾向は続くと考えられます。

限定正社員

「限定正社員」とは、使用者と無期雇用契約を締結する一方で、以下のいずれかの労働条件が限定された労働者をいいます。

・労働時間

・勤務地

・職務、職種

通常の正社員として働く際のネックになる要素を契約によって解消しつつ、「雇用の安定」という正社員のメリットを享受できる点が、「限定正社員」の特長です。

限定正社員としての働き方は、ワークライフバランスの実現に繋がり得るほか、特定の職能を伸ばしていくキャリア形成とも相性が良い側面があります。

フリーランス(業務委託)

一つの会社に雇用されるのではなく、複数の会社から業務委託を受けて働く「フリーランス」は、近年急速に注目を集めている働き方です。

フリーランスには労働基準法が適用されないため、企業にとって使い勝手のよい人材といえます。

解雇に関する厳しい規制も不適用のため、発注コストを柔軟に調整できる点も大きなメリットです。

フリーランスの方にとっても、働く時間・量・内容をコントロールできるので、正社員よりもはるかに自由な働き方が可能となります。

さらにフリーランス(業務委託)は、コロナ禍でいっそう注目されている「副業」との相性も良く、働き方次第で収入を大幅に伸ばせるポテンシャルを秘めています。

なお、フリーランス(業務委託)の形で副業を行う場合は、会社の就業規則を確認する必要があります。

中には副業を禁止している会社や、副業を許可制または届出制としている会社もあるからです。

副業に関する就業規則上の制限の有効性については、法的にも議論が分かれています。

しかしいずれにしても、ルールを無視して副業をした場合は、会社との間でトラブルになるリスクがあり、それは従業員の方にとっても本意ではないでしょう。

そのため、副業については会社の手続き・ルールに従うことを基本とし、どうしても会社が副業を認めない場合には、法的措置を含めた対応を検討するのが無難と思われます。

まとめ

経済成長・終身雇用という前提の下で成り立っていた「正社員」の優位性は、日本社会の変化や、近年の働き方改革などの影響によって、絶対的なものではなくなりました。

もはや多くの方にとって、「働く」ことは最優先事項ではなく、あくまでもライフスタイルの一要素として捉えられるようになったものと思われます。

このような状況下で、必ずしも「正社員」に捉われない働き方を考えることは、ご自身のライフスタイルを再検討し、生活をより豊かにすることに繋がるかもしれません。

さまざまな働き方があり得るという認識を持ったうえで、一度フラットな目線で、ご自身のワークスタイル・ライフスタイルを見直してみてはいかがでしょうか。

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