誰だって、自分の意見が反映されるのは嬉しい。社員の「やりたい」を最大限叶える企業事例
誰だって、自分の意見が反映されるのは嬉しい。社員の「やりたい」を最大限叶える企業事例

誰だって、自分の意見が反映されるのは嬉しい。社員の「やりたい」を最大限叶える企業事例

ライター
公開日
Oct 27, 2021

仕事のやりがいは人それぞれ…

と言いつつも、やはり自分のアイデアが商品や社内業務のプロセスなどに取り入れられれば、それを嬉しく思わない社員はあまりいないだろう。

しかし、自分の耳に慣れない意見は参考にしない、あるいは話は聞くけれどそのまま取り入れることはしない、といった文化を持つ企業はやはり多いのではないだろうか。

上司の「拒絶反応」とも言える。

その一方で、生産性を邪魔することなく多様なアイデアを原動力にしたり、SDGsの実戦に活かしたりする企業がある。何が違うのだろうか。

アイデアを社長に直談判する「すごい月曜日」

年間1,000点以上の新商品を生む—

尋常ではないスピード感で、移り変わる市場のニーズに応え続けているアイリスオーヤマの月曜日は、他の企業とは様相が大きく異なる。

通称「プレゼン会議」と呼ばれる新商品開発会議。毎週月曜日の9時40分から17時まで、昼の休憩を挟んでぶっ通しで行われるこの会議は遠隔地や海外の従業員もテレビ会議で参加し、新商品のアイデアを出し合う場所である。

この会議の最大の特徴は、そこに参加していることである。しかも様子見だけ、冒頭だけに出てくるのではない。丸一日そこで、経営トップが社員のプレゼンを聞き続けるのだ。

つまり、担当者が自分のアイデアを社長に「直訴」できる場所になっている。

大山健太郎会長はこのように話している。

一般企業で採用されているのは、リレー方式の開発体制です。 (中略) まず事業部やカテゴリーごとに担当者会議を行い、アイデアが出たら部課長会議にかけて、そこで認められた企画を取締役会に上げるというやり方です。自分たちの手を離れたら、上層部の判断を待つしかありません。そして上に行けば行くほど、ジャッジに要する時間が長くなり、最終的にやるかやらないかの決定を下すまでに半年以上かかることも珍しくありません。
🖊️

引用:ハーバード・ビジネス・レビュー 2021年2月号 p31

一方で「プレゼン会議」では毎週50件以上の案件の可否を即決する。

開発部門の責任者だけでなく営業、広報、物流など全部門の責任者が集まり、その場でパッケージデザインまでも決めてしまうのだ。

午前中に決まったことが、その日の午後から商談・業務に反映される。

このスピード感がヒット商品を生み続ける秘訣なのである。

しかし、別の側面にも注目したい。

発売が決まれば、その場で社長のハンコが押されるのだ。

海外にも拠点を持つ規模の会社で、いち担当者が自分の目の前で社長の押印を見ることはまずないだろう。

その感慨はひとしおではなかろうか。

1つの案件につきプレゼン時間は5〜10分。熱気に満ちた会議風景が目に浮かぶ。

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表彰すべきは成績や成果だけではない

企業理念に関することならどんなテーマで応募してもいい。ひとりでいくつのチームに所属してもいい—

オムロンで実施されているグローバル表彰制度「TOGA(=The OMRON Global Awards)」は、社員が自主的にチームを作り、企業理念に沿う活動のアイデアを出し実践するというものだ。

各チームは活動内容をまず事業所単位で発表する。選抜されるとカンパニー単位、リージョン単位と進み、最終的には世界で勝ち残った13チームが日本に招待され、グローバル大会に進む。その様子は全世界、全社員が中継で見守っている。

例えば、過去にはロシアのチームが取り組んだ「密造酒の撲滅」活動が表彰されている。オムロンとどんな関係があるのか不思議に思ってしまうが、活動内容を山田義仁社長はこう説明している。

ロシアの制御機器事業のチームはウォッカのボトルに2次元バーコードを印字することで、この問題を解決しようと考えました。 オムロンには製品に2次元コードを直接印字するマーキング技術や、高速に流れる2次元コードを正確に読み取る技術があります。この技術を使って、正規品がいつどこで生産されたものかをトレースできるようにしたのです。  さらには、スマホのカメラで2次元コードを読み取って正規品か密造酒かがすぐに分かるアプリも開発しました。
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引用:ハーバード・ビジネス・レビュー 2020年10月号 p94

オムロンの「社憲」は「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」である。実際の事業となると幅広いものが当てはまりそうだ。

ただ、この「TOGA」では、営業成績云々に捉われることなくアイデアを出せる。

営業成績や最先端技術ばかりを表彰の対象としてしまうと、表彰制度は一部の社員だけの話になってしまう。しかしTOGAは全員参加型である。部門を超えて、国境を越えてチームを組んでも良い。

社員同士の共感が広がり、企業理念が浸透する効果が出ていると山田社長は語る。TOGAへの参加者は2012年度ではのべ20,828人であったが、2020年度にはのべ51,033人にのぼっている*1。

SDGsにもつながる制度である。

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アイデアを披露しあえる風土に必要な「心理的安全性」

両者に共通するのは、「意見の出し合い」が活発であることだ。

日本人はシャイだからなのか、あるいはそれぞれの会社の風土からなのか、アイデアの出し合いで会議が熱を帯びるということは少ないように感じる。しかしそれで良いのだろうか。

もちろん、上司が「まず否定から入る」ような人では誰も意見を言わなくなる。しかしそれは健全な組織とは言えない。

リーダーの想像の域を超えるチームを作ることは不可能である。よほど天才的なビジネスセンスがない限り、たった少数のリーダーだけで頭をひねっているようでは、その組織は時代に取り残されていくのが明確である。

ところで近年、組織の「心理的安全性」という言葉が注目されている。

ハーバード大学のエイミー・エドモンソン氏が提唱し、グーグルが2015年に紹介したことで話題になった言葉だが、その意味は

心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。
🖊️

引用:「『効果的なチームとは何か』を知る」グーグルhttps://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/introduction/

というものである。グーグルはこれを「チームの効果性に影響する因子」の最も重要なものだとしている。

裏を返せば、同調圧力は組織の効率性を奪うものなのである。

「理由は分からないが、この上司はダメと言いそう」

「自分は成績が優秀じゃないから黙っていよう」

これらを打破しているのが社長直談判の「プレゼン会議」であり、全社員に門戸を開いている「TOGA」であると筆者は見ている。

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ダイバーシティ時代にこそ心理的安全性を

さて、PwCは2018年に公表したレポートの中で、現代のマネジメントは「勘と経験に基づく意思決定の限界」だと指摘している*2。

「これまでの日本企業では、相手が自分と同じ価値観を持っているという前提の下で、『勘と経験に基づくマネジメント』が行われるケースが比較的多かったと考えられる」ともしている。ダイバーシティ時代においての日本企業の課題とも言えるだろう。

「いろんな意見が出されるとまとまらなくなる」—

そんな言い訳をするマネジメントもいるようだが、それは自ら視野を狭める、組織としては自滅の道を選んでいるようなものである。

アイリスオーヤマの大山社長はこうも語っている。

「製造するのは自分たちがつくりたいものではなく、お客様が求めるものでなければなりません」
🖊️

引用:ハーバード・ビジネス・レビュー 2021年2月号 p37

その「お客様」は多様化している。「ダイバーシティ」の重要性はその点においても叫ばれているところであるが、ダイバーシティとはただ単に「様々な立場の人を平等に雇い入れる」ことではない。

彼ら・彼女らの「意見」を取り入れてこそ、組織は時代にマッチし、従業員にもやりがいをもたらすのである。

*1

「TOGA(The OMRON Global Awards)」オムロン株式会社

*2

「ピープルアナリティクスサーベイ2017調査結果」

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Deeper ライターズ

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