3人に2人の小中学生が自宅学習でデジタル端末を活用。日本のICT教育の現状
3人に2人の小中学生が自宅学習でデジタル端末を活用。日本のICT教育の現状

3人に2人の小中学生が自宅学習でデジタル端末を活用。日本のICT教育の現状

公開日
Jul 6, 2021
ライター
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NHK報道記者を経て、現在4歳の女の子を育てながらフリーライターとして活動する私が、女性活躍(特に育児中の女性の社会復帰)や子育て、教育についてのニュースを紹介していきます。 今回取り上げるのは、小・中学生のICT教育について。私(30代半ば)が小学生の頃にはなかったICT教育ですが、今やほとんどの小・中学生が、家庭や学校でデジタル端末を活用しているそう。一児の母としても気になるトピックです。

家庭学習におけるデジタル端末の活用状況に関する調査結果が発表され、小・中学生のおよそ3人に2人が、パソコンやタブレット、スマートフォンといったデジタル端末を家庭学習で使用した経験があることが分かった。

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府がGIGAスクール構想を急速に進めた結果、ほとんどの小・中学校においてデジタル端末が普及されつつある。日本のICT教育の現状や、デジタル端末を教育現場に取り入れる利点や課題について紹介したい。

6割以上の小中学生が家庭学習でデジタル端末を活用

光村図書出版株式会社(東京都品川区)は2021年6月末、「家庭学習におけるデジタル端末の活用状況」に関する調査結果を発表した。本調査は、小中学校の教科書紙面にQRコードが記載されたことを受けて行われたもので、21年5月末~6月初旬にかけて、全国の小・中学生の保護者500名に対し、アンケートを実施した。

「子どもが、デジタル端末を家庭学習(学校での授業は除く)に使ったことがあるか」という質問については、64.4%もの保護者が「ある」と答え、小・中学生のおよそ3人に2人が、家庭学習でデジタル端末を活用していることが分かった。

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引用:【アンケート結果】家庭学習におけるデジタル端末の活用状況 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000073231.html

さらに、使用頻度については、最も多かった回答が「週に数回利用している」(38.8%)で、次いで「毎日」(28.3%)となった。つまり、家庭学習でデジタル端末を使ったことがある小・中学生のうち7割近くが、高頻度でデジタル端末を活用していることが分かる。

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引用:【アンケート結果】家庭学習におけるデジタル端末の活用状況 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000073231.html

デジタル端末の活用について「よいと思う」、「どちらかというとよいと思う」と答えた保護者は63.0%となり、肯定的に捉えている保護者が多いことが分かる。一方、3割近い保護者は「どちらともいえない」と答えており、デジタル端末による家庭学習の是非について判断しかねる保護者も一定数いることが分かった。

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引用:【アンケート結果】家庭学習におけるデジタル端末の活用状況 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000073231.html

コロナ禍で前倒しされたGIGAスクール構想の「1人1台端末」

デジタル端末は家庭学習だけでなく、学校教育の現場にも普及されつつある。2019年12月、文部科学省は「GIGAスクール構想」を打ち出し、2023年度までに全国の小・中学生1人につきデジタル端末1台の普及、そして高速大容量の通信ネットワークの整備を目標に掲げた。

GIGAとは、Global and Innovation Gateway for Allの略で、GIGAスクール構想は、Society5.0(※)時代を生きる多様な子どもたちが、誰ひとり取り残されることなく、公正に個別最適化された学びを実現することを目的としている。

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※Society5.0 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。 (引用:内閣府 科学技術政策 Society5.0

GIGAスクール構想の発表当初は、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数が5.4人/台と、目標には遠く及ばなかった。しかしながら、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本来3年計画だった「1人1台端末」の整備が前倒しで行われることになったのだ。

2021年5月に文部科学省から発表された進捗状況(確定値)によると、全自治体等のうち96.5%が、令和2年度内に端末の納品が完了する見込みだという。納品とは、児童生徒の手元に端末が渡り、インターネット整備を含めて学校での利用が可能になる状態を指す。

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急速に進んだGIGAスクール構想により、学校教育はどのように変化するのだろうか。

「1人1台端末」のメリット・デメリットとGIGAスクール構想の課題

まず、従来の一斉授業は、子どもたちの理解度の差を教師が細かに把握できないことが課題だった。しかし、1人1台端末の環境なら、授業中でも教師が一人ひとりの反応を把握し、個人に合わせたきめ細やかな指導を行える。

また、従来の個別学習の時間は全員同じ内容を学習するため、個々の理解度に合わせて学ぶことは難しかった。そこに1人1台端末があれば、理解度に合う内容をそれぞれが学習でき、学習履歴も自動記録されるため、一人一人に合った最適な学習ができる。

さらに、協働学習の場で自分の意見を発信しづらい生徒も、個人で記事や動画などを集めて編集し、クラスメイトと互いの意見を即時に共有することも可能になる。実際に、社会科や英語の発表資料を作る際に、デジタル端末を使用しているという話も聞いた。デジタル端末を通じて、すべての生徒が受け身ではなく、能動的に学びの場に参加できるようになるのだ。

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引用:文部科学省「未来の学び」構築パッケージ https://www.mext.go.jp/content/20200219-mxt_syoto01-000003278_501.pdf

一方、デジタル端末を学習に使うデメリットも考えられる。ここで、家庭学習におけるデジタル端末の活用状況のアンケートの話に戻ろう。デジタル端末での家庭学習に対する不満や不安な点について、「子どもの健康面が心配」(32.6%)、「子どもを長時間デジタル機器に触れさせたくない」(29.6%)と子どもの健康面や生活習慣への不安が多かった。

この点は、GIGAスクール構想を進める文部科学省も「ICTの活用に当たっての児童生徒の目の健康などに関する配慮事項」や、「保護者等との間で事前に確認・共有しておくことが望ましい主なポイント」として留意点(目と端末の画面との距離を30cm開ける、時間を決めて使うなど)を掲げている。

また、GIGAスクール構想そのものの課題もある。まず、教師側のITリテラシーやITスキル不足が挙げられる。また、通信回線等の不備により、生徒が一斉にアクセスできない、もしくは回線が重くなるといった事態も考えられる。近い将来「1人1台端末」が完全実現されても、使いこなせなければ意味がない。政府は、教師への情報提供や研修、そしてネットワーク環境の整備も急速に進めていくべきだろう。

Photo by Thomas Park on Unsplash
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子どもが安全にデジタル端末を活用するために、保護者ができること

保護者が善し悪しを判断したところで、ICT教育の普及は進んでいる。家庭だけでなく、学校でも導入されつつあるデジタル端末。今、私の娘は幼稚園児だが、小学生になる頃には、ランドセルにタブレットを入れて持ち歩くようになるだろう。

子どもたちに安全に、そして最大限デジタル端末を活用してもらうためには、まずは大人がデジタル端末による学習のメリット・デメリットを知る必要があるだろう。そして、保護者としてできるのは、基本的なことだが家庭で子どもと一緒にデジタル端末使用時のルールを作り、インターネットの特性や個人情報の取り扱い方を丁寧に伝えることが重要なのではないだろうか。

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